排 除 勧 告 要 請 書

                                     
             要 請 人  株式会社 上      昇
                    代表取締役 金 岡 勇 均
             要 請 人  株式会社 ア  ク  ト
                    代表取締役 新 谷 雄 二


           虎ノ門南法律事務所
             右両名代理人弁護士  椙  山  敬  士
             同          岩  崎     晃
           プライム法律事務所
             同          藤  田  康  幸
             同          錦        徹
           紀尾井坂法律特許事務所
             同          小  川  憲  久
             同          追  川  道  代
           三木・吉田法律特許事務所
             同          吉  田  正  夫
           高後・森・藤本法律事務所
             同          藤  本  英  介
           岡本・鈴木・高松法律事務所
             同          中  野  通  明
           東京平河法律事務所
             同          小  倉  秀  夫
           岡村久道法律事務所
             同          岡  村  久  道
             同          北  岡  弘  章
           共栄法律事務所
             同          木  村  圭 二 郎
           新橋共同法律事務所
             同          神  頭  正  光
           東京法律事務所
             同          志  村     新
           濱田広道法律事務所
             同          濱  田  広  道
           籏法律事務所
             同          鈴  木     誠
           加地修法律事務所
             同          杉  浦  幸  彦
           大土法律事務所
             同          大  土     弘
           権藤法律事務所
             同          権  藤  龍  光

             相 手 方  株式会社 エニックス
                    代表取締役 福 嶋 康 博
             相 手 方  社団法人コンピュータエンター
                    テインメントソフトウェア協会
                    理   事 上 月 景 正

第一、求める勧告

   要請人らが貴委員会に求める勧告は左記のとおりである。

   

一、株式会社エニックスは、家庭用テレビゲーム機用ソフトウェアの販売に関し、自ら取引先小売業者若しくは取引先卸売業者に対し又は取引先卸売業者を通じてその取引先である小売業者に対し、次のことを要請し、これを守らせている行為を取りやめること。
 1、右ゲーム機用のソフトウェアについて、小売業者は同ソフトウェアの中古品
   を取り扱わず、卸売業者は取引先の小売業者に同ソフトウェアの中古品を取
   り扱わせないこと
 2、右ゲーム機用のソフトウェアについて、小売業者は家庭用等での個人使用を
   た一般顧客のみに販売し、卸売業者は小売業者のみに販売目的としすると共
   に取引先の小売業者に家庭内等での個人使用を目的とした一般顧客のみに販
   売させること
二、株式会社エニックスは、取引先小売業者及びフランチャイズ本部との間において締結し若しくは締結しようとしている「売買取引契約書」のうち、右一の1及び2を内容とする条項を削除すること。
三、株式会社エニックスは、取引先小売業者及びフランチャイズ本部が株式会社エニックスの提示する「売買取引契約書」に含まれている右一の1及び2を内容とする契約条件に同意しないことをもって、小売業者及びフランチャイズ本部と「売買取引契約書」を締結せず、かつ、小売業者やフランチャイズ本部が希望する右ゲーム機用のソフトウェアを供給しない行為を取りやめること。
四、株式会社エニックスは前三項に基づいて採った措置を、取引先小売業者、取引先卸売業者及び取引先卸売業者の取引先である小売業者並びに一般消費者に周知徹底すること。この周知徹底の方法については、あらかじめ当委員会の承認を受けること。
五、株式会社エニックスは、第一項の行為と同様の行為により、小売業者の販売価格を制限し又は取引先小売業者若しくは取引先卸売業者の事業活動を制限しないこと。
六、株式会社エニックスは、前各号に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
七、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、「違法中古ソフト撲滅キャンペーン」を行わないこと。
八、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、右七の目的のために作成した文書、パンフレット、「NO RESALE」マーク、ホームページ掲載を廃棄ないし中止し、これらを使用しないこと。
九、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、会員たる右ゲーム機用ソフトウェアのメーカーに対し、同ソフトのパッケージ及び製品広告上に中古ソフト売買を禁止する文面を記載するよう勧奨することを取りやめること。
一〇、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、前三項に基づいて採った措置を、その会員及びその他の右ゲーム機用ソフトウェアのメーカー、小売業者、卸売業者並びに一般消費者に周知徹底すること。この周知徹底の方法については、あらかじめ当委員会の承認を受けること。
一一、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、第七項と同様の行為により、会員たるソフトウェアメーカーにその取引先である小売業者及び卸売業者の事業活動を制限することを勧奨しないこと。
一二、社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会は、右第七乃至一一項に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。

第二、勧告を求める理由

一、事実

 1、当事者
 (一)要請人株式会社上昇(以下「上昇」という)は、「古物売買業」等を目的
    とする株式会社であり、新品及び中古のゲームソフトを「カメレオン」の
    名称の直営店及びフランチャイズ店で販売している。
 (二)要請人株式会社アクト(以下「アクト」という)は、「ファミコンのフラ
    ンチャイズチェーンショップの運営、育成」等を目的とする株式会社であ
    であり、「わんぱく小僧」の名称で新品及び中古のゲームソフトを販売す
    るフランチャイズ・チェーンの本部を営んでいる。
 (三)相手方株式会社エニックス(以下「エニックス」という)は、「コンピュ
    ーター及び関連機器、消耗品、通信機器、コンピューターソフトウェアの
    企画、開発、製造、販売、リース並びに輸出入」等を目的とする株式会社
    であり、ドラゴンクエストなどのテレビゲーム機用ソフトウェアを開発、
    製造、販売している。
 (四)社団法人コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(以下
    「CESA」という)は「コンピュータエンターテインメントソフトウェ
    ア(主として家庭において、コンピュータ等で人々が遊び楽しむソフトウ
    ェア。以下同じ)に関する調査及び研究、普及及び啓発等を行うことによ
    り、コンピュータエンターテインメントソフトウェアの振興を図り、もっ
    て我が国産業の健全な発展及び国民生活の向上に寄与すること」等を目的
    とする社団法人であり、エニックスその他多数のゲームソフトメーカー等
    が会員として参加している。

 2、エニックスの行為
 (一)エニックスは、株式会社ソニー・コンピュータエンターテインメント(以
    下「SCE」という)の製造するプレイステーションと称する家庭用テレ
    ビゲーム機その他のゲーム機で稼働するソフトウェアを開発、製造、販売
    してきたが、従前はSCEその他のハードメーカーに製造したソフトウェ
    アの全量を販売してきた(SCEはこれを卸売業者や小売業者に販売して
    いた)。
 (二)エニックスは、平成九年一二月ころから右のような流通方法を改め、小売
    業者やフランチャイズ本部に対し、直接ソフトウェアを販売するいわゆる
    直販方式を採用することとした。
 (三)そして、上昇及びアクトを含むゲームソフト販売業者等に資料一のような
    売買取引契約書を送付してきた。この契約書には、次のような条項が含ま
    れていた(傍線は要請人)。
    第一一条 甲は、商品を販売するに際しては、家庭内等での個人使用を目
         的とした一般顧客に対してのみ販売を行うものとし、
         (1)店舗内の見易いところに陳列し、
         (2)乙の意思に沿って正しく一般顧客に説明し、
         (3)一般顧客の信頼を高める
           ようにするものとする。
       2.前項における販売は日本国内でのみ行われるものとし、甲は商
         品の輸出を行わないものとする。
       3.甲は事前に乙の承認を得ないで、前二項に定められた販売方法
         以外には販売を行うことはできないものとする。
       4.その他、甲は乙の営業方針に協力するようできる限り努力する
         ものとする。
    第一四条 甲は乙の商品の著作権その他無体財産権を侵害しない。
       2.甲は次の各号に該当する行為をしないことを乙に確約する。
         (1)目的の如何を問わず商品の偽造品・模造品・無許諾複製品
           の販売
         (2)目的の如何を問わず乙の許可なく商品又は取扱説明書の全
           部または一部を複製・改変・翻案すること
         (3)目的の如何を問わず乙の許可なく商品をレンタルすること
         (4)目的の如何を問わず乙の許可なく商品を中古ソフトとして
           売買すること
         (5)第三者に前各号の行為をさせること
       3.前項(4)については平成一〇年一二月三一日まで効力を停止す
         る。
    第一九条 甲が、次の各号の一に該当した場合、甲は直ちに期限の利益を
         失い、乙に対する債務の全額を即時に支払う。
         (1)第四条に定める代金の支払いを怠ったとき。
         (2)支払停止状態に至ったとき、または手形交換所の不渡処分
           があったとき。
         (3)仮差押・差押・競売・強制執行・滞納処分等公権力の処分
           を受けたとき。
         (4)破産・和議・会社整理・会社更正の申立があったとき。
         (5)本契約の条項に違反したとき。
         (6)その他著しい信用の悪化・あるいは乙に対する背信行為が
           あったとき。
       2.乙は、甲が前条各号の一に該当する場合には、甲に対し何らの
         催告を要せず直ちに本契約を解除し、または解除せずに商品の
         出荷を停止することができる。

    右の各条項から明らかなように、右契約書では仲間売買の禁止や中古販売の禁止が義務づけられており、これに違反した場合契約解除や出荷停止が定められている。
 (四)中古販売は著作権法上も当然に許される行為であり、中古販売の禁止は独
    占禁止法に違反する行為である。
 (五)そこで、アクトは右契約の締結を拒否した上、平成一〇年七月二三日にエ
    ニックスに対し同社が発売予定であったスターオーシャンセカンドストー
    リーを五〇〇〇個発注したが、エニックスは同ソフトの発売時期になって
    もアクトに対し一本の同ソフトも供給しなかった。
 (六)上昇も同じく同契約書の中古条項の撤回を求めたが、受け入れられず、
    やむなく仲間売買によりエニックスのソフトを販売すべくチラシを出した
    ところ、エニックスから平成一〇年八月一九日付(資料二)及び二〇日付
    (資料三)の内容証明郵便により中古販売の中止や、謝罪文を求める警告
    書を受けた。
 (七)エニックスは右の行為のほかにも、平成一〇年七月中ころから、自社の人
    気ソフトであるドラゴンクエストの注文を集めるにあたり、問屋に対しエ
    ニックスが生産販売しているポケモン・エンピツを前記ソフトの七倍買え
    ば同ソフトを割り当てるという抱き合わせ販売も行っている。
 (八)なお、ゲーム機用ソフトの直販方式への転換はエニックスだけでなく株式
    会社光栄も開始しており、同社の契約書にも中古売買の禁止条項が含まれ
    ており、このような傾向は、放置すれば益々広まるおそれがある。

 3、CESAの行為
 (一)CESAは、公益法人でありながら、何ら正当な法律的根拠もないにもか
    かわらず次のように中古ソフト撲滅キャンペーンを実施している。
 (二)すなわち、社団法人日本パーソナルコンピューターソフトウェア協会及び
    社団法人コンピューターソフトウェア著作権協会とも共同して(資料四
    参照)、
  (1)無許諾でのゲームソフトの中古販売を禁止する「NO RESALE」
     マークを制定し、
  (2)ゲーム専門雑誌等に中古販売が違法であるとの意見広告を出し、
  (3)CESA会員に、ゲームソフトのパッケージや製品広告上に無許諾の中
     古ソフト売買を禁止する文面を記載するように勧奨している。
 (三)CESAの右のような行為は、事業者団体として、会員に対し違法な行為
    を勧奨するものにほかならず、かかるCESAの公益法人にあるまじき違
    法行為が前述のエニックスのような違法行為を誘発させている。

二、法律の適用

 1、エニックスの前記行為は、著作権法上何ら根拠がないにもかかわらず、中古販売の禁止を求めるなど、拘束条件を付した取引ないし優越的地位を濫用する行為であり、独占禁止法第二条七項、一般指定一三項及び一四項の不公正な取引方法に該当することは明らかである。

 2、CESAの前記行為は、独占禁止法第八条一項五項の「事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること」に該当する。

 3、なお、中古販売が著作権法上合法なものであることに関しては、貴委員会におかれてもSCEに対する勧告に関連して把握されていると思料するが、要請人らが収集した右争点に関する資料を合わせて(資料五)提出する。

   また、本要請の代理人らは、SCEほか五社がアクトに対し、大阪地方裁判所に提起している事件(平成一〇年(ワ)第六九七九号著作権侵害行為差止請求事件)の被告ら代理人でもあり、同事件に関する資料等も有しているし、また本書で言及した抱き合わせに関しても貴委員会に対し、積極的に独占禁止法違反の現状を改善するために必要な協力を致したく考えている。

          添  付  書  類

 一、資格証明                四通
 二、委任状                 二通
 三、資料一ないし五            各一通


平成一〇年一〇月五日

            右要請人両名代理人
             弁 護 士    椙  山  敬  士
             同        岩  崎     晃
             同        藤  田  康  幸
             同        錦        徹
             同        小  川  憲  久
             同        追  川  道  代
             同        吉  田  正  夫
             同        藤  本  英  介
             同        中  野  通  明
             同        小  倉  秀  夫
             同        岡  村  久  道
             同        北  岡  弘  章
             同        木  村  圭 二 郎
             同        神  頭  正  光
             同        志  村     新
             同        濱  田  広  道
             同        鈴  木     誠
             同        杉  浦  幸  彦
             同        大  土     弘
             同        権  藤  龍  光


公正取引委員会  御中

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