第一 「原判決の結論と従来の裁判例」について
一 被控訴人は、従来の裁判例は、上映権や複製権、同一性保持権が問題になったケースに過ぎず、頒布権が認められるべき「映画の著作物」とは何かが問題となったケースに関する事例ではないと主張する。
しかし、従来の裁判例においても、対象著作物が「映画の著作物」に該当するかが争点となり、その該当性について裁判所が詳細な判断をしてきた。そして、いずれの判例も、法二条三項に基づき、少なくとも動画を中心に構成されているゲームソフトを「映画の著作物」に該当すると判断してきたのである。原判決のように、プレイヤーの操作によって画面に変化が生じることをもって、映画の効果に類似する視聴覚的効果による表現形式を否定するという判断は、従来の判例・学説に照らして全く特異である。
なおパックマン・アーケード事件判決は、自らは複製行為をしていない喫茶店業者が、第三者から購入したゲーム機器を利用して、その営業する喫茶店内において、顧客にゲームをさせてその影像を視聴させたという事案に関するものである。平成一一年一二月三一日までは、「上映権」は映画の著作物にのみ認められた支分権でああり、また、無許諾複製物であることの情を知りながら無許諾上映に使用することは著作権侵害行為とみなされていない(法一一二条一項二号参照)。したがって、右事案においては、対象著作物が
「映画の著作物」でなければ、被告とされた喫茶店業者の行為が適法となるのであり、「映画の著作物」に該当するかどうかが、侵害・非侵害の結論を直接左右する論点であった。
二 被控訴人は、現に中古ゲームソフトの販売が広く行われてきたことから、ゲームソフトが「映画の著作物」であるという解釈が定着していた事実はないと主張する。
しかし、中古ゲームソフト販売が行われてきたからといって、違法なものが適法になるわけではなく、また、ゲームソフトが「映画の著作物」に該当しないという確信のもとに中古ゲームソフト販売が行われてきたとは到底考えることができない。
第二 「原判決の判旨の要約」について
被控訴人は、原判決が映画に特有の権利としての上映権等について子細な検討を加えているという。
しかしながら、原判決は、上映権が他の著作物において認められている無形的な著作物の利用に関する権利に対応するものであるとして、何ら具体的な検討を加えていない。また、法一六条、法二九条及び法五四条についての原判決の検討は、まったくの独断によるものである。これらの誤りについては後述する。
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